〜虚影〜

陽も無き大地のその上で 臥れる獣は夢を見る
閉じた瞳は狡猾に 真白き贄を待つ夢を

至高天より堕ち来たる
瞳は黒に魅入られて
汚れた衣ひらひらと
尾を引き闇に紛れ逝く

月無き大地のその上で 猛れる獣は咆吼す
鋭き爪刃研ぎ澄まし 隠せる牙は獰猛に

戻れぬ空を見上げては
声なき嘆きに慟哭す
破れた翼はらはらと
軌跡を印して散りて消ゆ

黒白―大地のその上で 獣は今宵も贄を待つ
煌めきはじけて四散する 気高き聖者の贄を待つ




2003/02/08記

シャドウゼロ殿へ贈った詩。
「堕ちた聖者・光と魔(闇)・狼」の三つをテーマとして頂いた。
一時プロフィール欄へ飾って下さって居たようで…長くしすぎたと反省している。