恋歌 〜愛しき風に


恋にも至らず散った花片 愛も知らずに枯れた花
それをもしも私とするなら この歌は鎮魂歌−レクイエム−と呼びましょう

恋に恋して愛の名を知り 想いを告げる相手もいない

それがもしも私と言うなら この歌はきっと練習曲−エチュード−ですね

あなたのそばにいたいだけ その声さえ聞けなくても
息吹を受けて安らげる あなたを感じていたいだけ


姿さえ知らず名も知らないまま 風に佇みただ唄う
この歌がもし聞こえていたら 草原駆け抜け教えて下さい

穏やかな心 それだけ感じる 結晶化した夢のように
この声がもし聞こえていたら 囁きだけでも届けて下さい

瞳を閉じてもたれていたい この身を包む優しさに
けれど私はあなたのそばに 近付くだけの資格もない


遍く高みを翔る風 指先かすめ消えてゆく
あなたを抱くことができれば 他には何も望みはしない

この心さえ生命でさえも 風と融け合い消えていい
あなたが私を愛してくれたら 永久の誓いを結びましょう

幾度死んでも 幾度生きても 必ずあなたに巡り逢い
私の持ちうるすべてをかけて 必ずあなたを愛すると


捧げるだけの想いです 応えはいつも変わらない
溢れる涙零れ落ちても 風がさらってくれるでしょう

あなたにだけ捧げる想い 見返りなど要らない
この想いゆえ 私が孤独を抱くとしても
生涯歌い続けましょう 風−あなた−への恋歌を



555ヒット、サトコ様への貢ぎ物です。
「風」というのは、私が自然界の中で愛してやまない現象だったりします。
風に吹かれていると、何だか悲しいような、切ないような、不思議な感覚に襲われます。
もしかしたら、風が「自分」をどこかへ連れていってくれることを望んでいるのかも知れません。