刀持論 其の壱


 よく誤解されてると思うのだが、刀身と柄、鞘は別物である。刀を造る時はまず刀身を造り、それを何の装飾もしていない柄と鞘に入れる。(これを白鞘と呼ぶ)刀を受け取った人は、それを持って然るべき鞘師の所に行き、「これこれこういう風に造ってくれ」と頼むのである。(勿論例外もあるが)この辺に自分の好みが出るんだろう。ちなみに、刀は当時でもすごく高価なもので、たかが一兵が名のある刀なぞ持てる筈はないのである。大量生産品で十分。激しい戦なんかするとすぐ折れる。勿論、浪人だって同様

 カン違いされてることその2。刀の差し方。打刀は、刃が上に来るように腰に差すのである。横から見て山型になるの。谷型になるのは太刀の差し方なのよ。だから間違えないでくれよ、頼むから。大体、刃が下になってたら抜いた時に持ち直さないといけないじゃないか。まったく。

 カン違いされてることその3。峰打ち。あれは最初から刃を返してやるんじゃありません! 相手の身体に触る寸前で手首を返すんです。こう、くるっとね。だから相当の手練れじゃないと出来ないんだし、打たれた方は「斬られた!!」というショックもあり、気絶するのである。つまり逆刃刀で斬る時にいちいち戦う前に刀の刃を返す必要はないのだ。逆刃刀について少し。元来鉄というものは、薄くすればするほど薄い方に反る性質があるのです。普通の刀はそれを日本独特の技術で逆に反らせているので、だから却って丈夫なんだよ。つまり、逆刃刀はすごく脆いはずなのです。失敗作?

 カン違いされてることその4。刀の強度。どんな名工が造ったものでも、何人も人を斬ればぽっきりいっちゃうものなのである。保っても10〜15人。刀を打ち合わせたらもっと保たないよ。ちょっとした傷でも折れやすくなっちゃうからねぇ。だからちゃんと手入れしなきゃいけないし、鍛え直さないといけない。顔なじみの刀鍛冶とかいるんだよ。それに刀って言うのは鍛えれば鍛えるほどその鋭さが増すのである。使わないとダメってコトね。戦場刀なんて傷ばっかりだから、いかに相手と刀を打ち合わせることなくとどめを刺すか、という技術(?)が発達したんだと思う。足軽ならいざ知らず、自分の大切な刀は折りたくないしね。ところで、折れた刀はどうなるのかっていうと、勿論リサイクル。また溶かして刀造るんだよ。玉鋼(たまはがね)って、刀を造るための上質の鋼なんだけど、結構貴重らしいし。純国産の鉄から造ってるらしいけど、今はあまり玉鋼もなくて、古い寺とかに使われてた釘とかから精製してるんだってさ。大変ね。

 うーん、調べればまだまだありそうだけど、この辺でやめておこう。クレームが来そうだし。
 とにかく、現代の一般人の筋力で軽々と振り回せるほど刀は軽くないです。いくら軽いって言っても、鉄なんだから。大体軽すぎたら威力が落ちるじゃんか。レイピアとか、エストックじゃないんだからさ。西洋の剣はその重さに任せて叩き潰す、っていうのが多いらしいけど、日本の刀は鉄さえ斬れるんだから。もっとも、そんなコトしたら刀身はボロボロになるだろうけどね。

 そう言えば、ルパン三世でゴエモン(漢字分からん)が「斬鉄剣」という刀を使っていた。あまり知られてないけど、あれにも大小(長い刀と短いの)あるんだよね。小刀の方には「小柄(こづか)」と「(こうがい」と呼ばれるものがついています。小柄しかないもの、両方ないものもあるらしいけどね。小柄っていうのはナイフみたいなもの。笄は女の人の簪(かんざし)にも使われてたし、髪を整えるのにも使われてたらしいよ。まさに実用的だったわけだ。でも斬鉄剣には両方なかったね。その前に鍔がなかったか。ってことは居合刀か?
 鍔競りをする必要がないらしいから、居合刀には鍔がないものがあるんだって。「抜かば必ず斬る!」っていうのかな。抜き打ちざまの技が多いからねぇ…。ま、鍔無しの刀なんてそれこそ剣聖レベルじゃないと使えないだろうけど。(そうか?)

 おぁ、刀じゃなくて剣技の話になっている。刀…刀はねぇ。やっぱ好きなんだろうーなぁ。いつか居合の免許皆伝会得したい。だって刀の技揮ってると落ち着くもの。