2004年4月
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2004.4.1(Thu)

「」


言葉を発しないのは
その責を問われるを懼るため

行動を起こさぬのは
その始末をつけるを疎んじるため

立ち止まるのは
未来を信じないため

振り返らぬのは
後悔をしないため

思考を止めるのは
痛みを思い出さないため


精々卑怯だと哂うが良い
俺はそういう存在なのだ



2004.4.3(Sat)

「愛されし死神」


纏ったローブは飴色で
鎌は蜜色 髪は亜麻色

真白き不気味な髑髏の代わりに
柔和な微笑があった

爪は薄桃色
指先は白く繊細

三日月の唇から紡がれる言葉は
睦言とも似た響き


 『さあ おいでなさい』


その死はどこまでも甘い



2004.4.4(Sun)

「」


彼の地には
絶対的な信頼がある

幾度落とされ
幾度支配されても

変わらぬと


…莫迦らしい

見捨てたものを信じるなど。



2004.4.6(Tue)

「」


腐り落ちた喉が震える
憎悪にのたうち
憤怒にもがき
慟哭にも似た響きして
咆哮する

戦乱の世は人を裂く
絆でさえ 縁さえも

寂寥とした感覚に哂う

己が望んだ結果だろう
何を寂しがる?
何を悔いる?


…何故 絶えてしまわない?



2004.4.7(Wed)

「空蝉」


消えてゆく今を留め置くのは
色褪せることのない記憶

俺に流れる時は停滞したまま
不変を望む 或いは刹那を

忘れないと言わしめることで
俺は手に入れるのだ 貴方を

俺は「記憶」を手に入れた

変わることのない
永遠の抜殻を

2004.4.8(Thu)

「夢桜」


黒きくちなわに見える
裏腹に真白き髪に魅入り

また

白きくちなわであった
彼の人を思い出す


現世に生き苦しむ夢か
白きに耐えかね生まれた夢か


貴方は彼の君の半身か
桜より生まれたと語る似人よ



2004.4.10(Sat)

「」


詩と義と闇に焦がれる
この身は邪炎

黒き炎には主も故郷も無い
故郷と呼ぶ存在はない

その生まれしは紅蓮
やがて漆黒に染められて

紅でもなく
黒でもなく

幻でもなく
夢でもなく

さりとて現でもない


居場所など要らないのだよ
無くとも 在ることは出来る



2004.4.12(Mon)

「」


『莫迦な…
 何をしているのだ、貴方は。
 何故動かない?』

呟いた言葉が届く事はなく
また 届かぬことを望む

姿も声も言葉も 視線さえも
貴方に届かぬことを祈る


見えぬ場所でなら
貴方に知られぬ場所でなら

どんなに俺が醜く足掻こうと
貴方を苦しめる事はないから



2004.4.13(Tue)

「刻死」


月陰に墜ちた桜の一枝は
命脈を絶たれたゆえに
散ることもなく留まり

眺めて

文を綴る筆が止まる
竹簡を投げ捨てる

どうすれば終われるだろう

最近思うのは
そんなことばかり



2004.4.16(Fri)

「狂歌」


眠らない梟
嘲笑う蛙
美麗な鳶
鋼色の風切羽

踊り回る七草
飛び跳ねる蚕
空を飛ぶ狼
苺味の青空

哄笑する炎



2004.4.19(Mon)

「」


移ろいゆく木の葉の色
舞散ってセピア
儚きまま陽光に溶け
狂い咲く 桜 薄紅

懐古に慕情覚え
いとおしき 刻止まる一時
崩れ落ちた硝子細工
月の光受け きらきら

さかさまの天球儀
水に浮かべ ゆらゆら
面影の月 叩き壊して

この砕けた鏡の奥深く
縫いとめ絡めて 己自身を
悲壮さに気付かれぬよう

封じて封じ込めて
哂え 笑え 高らかに

世界よりも己を憎め



2004.4.20(Tue)

「」


薄闇に誰何の声投げれば
ただ静寂のみが応える

狂おしいほど
狂うほど

夜闇は駄目だ
正気が悖る

狂おしいほど
狂うほど

幾つもの蜘蛛糸牽いて
絡まる輪廻と己を嗤う


策にかかったのは誰ぁれ



2004.4.22(Tue)

「露草」


言葉まで露に濡れて居た



2004.4.26(Mon)

「山梔子」


声なき言葉は切ない



2004.4.27(Tue)

「」


仮面に夢を
暗闇に言葉を
黒に命を

想いに時間を



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