2004年5月
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2004.5.1(Sat)

「」


いつから俺は変わった?

何故俺は変わった?

過去に囚われ過ぎる事など
以前は無かった

後悔を覚えたのは何時だ
人を憎む事を覚えたのは何時だ
諦める事を覚えたのは


…何もかも手遅れ



俺は満足しているのだ
憎いと思えるほどに
自我を思い出させてくれた

すべてのものに



2004.5.2(Sun)

「」


信じない

お前の言葉など。

俺は決して信じない


もしも貴公がその言葉で
俺を縛り措くつもりなら

好きなだけ囁くが良い

さすれば
忌まわしき過去の幻影は
貴公の元に留め置ける。



2004.5.4(Tue)

「契約」


炎を望む者あらば
所有を望む者あらば

俺が望むのは
絶対的な支配か
絶対的な信頼

途切れぬ心を捧げよう
裏切らぬ心を捧げよう

盲目的な忠誠を以て
望まれる総てに尽くそう


見損なってくれて構わないよ。



2004.5.5(Wed)

「月夜」


中空に浮かぶ真円の
煌々たる白銀に盃を重ねる

忍ぶれど
夜色冴えて想い月
一人盃 ゆえに恋しく

詠いつ
心地好き夜気に身を浸す

月白く
星稀なりて

己が心の瞬きも
一つの真に薄れような



2004.5.6(Thu)

「音」


縁が惜しいと云い
切り捨てなかった者がいる

空へ手を伸べて笑う
俺は変わったろう?


けれど、愉快だね
俺は貴公を望むのだ


愛でもなく恋でもない
真と信をくれるなら

想い人より尚大切な
その信念があるのなら

この身は汝のため
永久に盛る炎となろうよ

2004.5.9(Sun)

「乾杯」


杯を掲げる

杯を 掲げる


異国の歌を口ずさみ
虚空に杯を掲げる


喧噪が懐かしい
笑い声が懐かしい

けれどそれ以上に
音あるがゆえの孤独を怖れる



2004.5.11(Tue)

「憐」


黒衣を纏い ふらりと表へ出た

彷徨い出たその先の喧騒は
あまりにも変わらなさ過ぎて

思い出した魔島の日々も
今となっては忌まわしいものでしかなく


ふと思う
義務感や感傷だけで
記憶に留め措かれるというのなら

忘れてくれた方が有難いね

尽きかけた熾火に
利用価値はないだろう?



2004.5.12(Wed)

「眠ヲ知ラズ」


己が心の戸惑いを
制御出来ず迎える 夜明け色

ただ迷いの出口を
眠りの内に求めて 暁

選ぶ道は ひとつ
ひとつ
振り返る路は
大きな
楕円

時の輪の接するところ
時の輪の上を歩き続ける



2004.5.17(Mon)

「」


ぼんやりと時を過ごし
気紛れに外をふらつき

楽隠居のようだと
だが、それでも良い

忌むべきものが多すぎて
潔癖症な己が莫迦らしくて
ともすれば忌む幾多のものと
等しく交わりそうな己を嫌悪して

存在するだけで蔑むそれら
何故に君は記憶に留めおく?
何故に君は関わろうとする?


人を軽んじる行為は 嫌いだよ



2004.5.19(Wed)

「焉」


月明かりに微かな香たゆたう

変化のない日常が続く
世界に目をやる気はない

近しきものに関り

ぽつり ぽつりと
爆ぜては消える

好んで行く場所も失せた
親しき人とも疎遠になった

気楽な反面
ひどく空虚で

けれども面倒だから
もう これで良い



2004.5.20(Thu)

「」


月の見えぬ夜は火を灯して
来ぬ人を待つ

紅蓮の炎を望むのなら
此処へ来てはいけない
翳った炎を望むのなら
傍に来て安らかに眠れ

擦れ違う刹那の熱は恋しい
触れ続ける焔の熱は苦しい

まだ
断ち切れて居ない



2004.5.23(Sun)

「双舞」


月と夜風と盃を重ね
影と語らう

手を伸ばせば届くところにある
それは充分 理解している

だから怖れる

傷付けなかったことはない
終わりのこないものはない

だから立ち止まる

傍に居てくれ などと
誰が言えよう?



2004.5.24(Mon)

「火蜥蜴」


振り切る
前を向く

振り返る
対峙する

過去を過去に出来ぬまま
立ち止まる 刻死

けれど 貴公は

憎悪し 侮蔑し
前を向き未来を見
俺など一瞥もせずに

忘れてしまえ
堕ちるための場所など


俺は ただ一時
背を預ける場所が欲しいだけなのだ



2004.5.25(Tue)

「題未定」


世界は一つの大央華
混沌の宙-ウミ-に浮かぶ華

陽にて開花-ヒラ-き
陰にて散れる
...........

闇夜に巡る因果律
時越え巡る輪廻の輪

耀に生まれて
隠と消えゆく
.............


 草稿、陰陽。
 …気に入らぬ。



2004.5.27(Thu)

「」


…思い上がるな

何度も繰り返し告げただろう

俺は嘘が嫌いだと



2004.5.28(Fri)

「」


それは俺の欠落

心を知らず
人を知らず

与えられる幸福を知らず
奪われる不幸を知らず

信じることを知らず
疑うことを知らず

在るだけのもの

景色に色はなく
景色に音はなく

言葉に心はなく
言葉に魂はなく

熱さ寒さもなく
匂いも味もなく

それは俺の欠落。



2004.5.31(Mon)

「ひかり」


光は 嫌いだ
眼を射抜き身体を蝕む

求めて止まぬは闇
心浸し沈む 漆黒

そして
闇を生み出す

ひかり



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