2005年7月
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2005.7.1(Fri)

「」


零れた言葉は 謝罪のそれ
他に言うべき事があるだろうに

喉元までこみ上げる
 その言霊を
声にすることは出来なかった


俺は未だ その意味を知らず
俺は未だ その資格を持たず

使い方さえ知らぬまま
零れ落ちかける言霊を留める


…それだけでは足りないんだ
その言葉だけでは もう

貴方へ向ける感情は 想いは

到底 伝えきれるものじゃない


教えてくれ
どうすれば貴方を満たしてやれる

どうすれば俺は満たされる



2005.7.3(Sun)

「」


奏でられる楽の音を聴く

己の内なる感情を表す
その言葉もわからぬまま
口ずさむ古き詩 遠く


固めた覚悟と 決意とを
無意識に小さく 呟いた

放すものか 離れるものか

俺が魂は 貴公の存在に
俺が意志は 貴公の為に



2005.7.4(Mon)

「」


静かに 緩やかに
穏やかに過ごすこの時が

途絶える事が無ければいい


まほろばの見る夢は
終わらぬ現

思い 描く未来に
貴公の姿があれば良い


闇の焔は祈り願う

叶わぬものと知りながら

それでも


手にすることのなかった
己の幸福を



2005.7.5(Tue)

「No way to..」


隻眼から溢れ零れる
黒き雫を止める術を知らず

この心の内燻り続ける
想いを言葉にする術を知らず

未だ何も伝えられぬまま
ただ 雨の音を聴く


さらさらと 景色を奏でるその音色
乾涸らびた焔の亡骸に沁み入り

艶やかなる紅蓮を奏でようと
この胸にある琴弦を揺らす

なれど 今のこの身は

震えを音にする術を知らず
音を楽章にする術を知らず

己が身を翻弄する
正体の知れぬ感情


…その術を 知らず



2005.7.6(Wed)

「雨の切れ間」


途切れた音と 声の隙間
手を伸ばせど届かぬ距離

繋げる縁は 心か言葉か
判らぬままに沈黙す


目逸らし見上げた 空の果て
霞のような星の河

隔てて輝く 三つの星の
光の名残を唯探す


『鵲の 渡せる橋に…』



2005.7.7(Thu)

「夢焔」


紅蓮の炎 闇夜の焔
まほろばの夢は現を望む

貴方と共に歩む
その先の未来を願う

未だ 確と認識出来ぬ
己の想いを抱きながら

輪廻の如く
繰り返し歩む

探し追い求める その存在に
触れ得るのは

その存在を手にし得るのは


一体 幾つの夜を過ごせば良いのだろう



2005.7.8(Fri)

「」


盃に注いだ酒
浮かべるのは言霊

声にならぬそれを
飲み交わし 飲み干して

甘さのみを知る唇
口付けて啜れば甘く

ヒトの涙さえも


貴方を通して
俺は生命を 世界を知る



2005.7.9(Sat)

「」


遠く 近く
雨の音を聞く

屋根を濡らし 壁を伝い
土に落ちては玉と散る
天の雫に零れる 吐息一つ

手を伸ばせば指を刺す
色持たぬ雨の一滴
ひとしずく 受け止めては

上がる水煙に
己の焔たるを識る


まほろばの現身
雨に啼く虚蝉

奏でる音に 言霊に
魂は宿るのだろうか



2005.7.11(Mon)

「」


地に落とされた月琴の
かそけき弦の糸は絶え

紡がれぬ音の呟く声
ふつり ふつりと

形無き 胸の琴弦弾くよに
途切れ途切れに響く


胸に糸無き月琴の
紡ぐ音色のかそけきは

細き三日の月と似た
音のない 叫び声

形ある ものはいずれ崩れ
意識だけが谺する


弦失き琴の紡ぐ詩



2005.7.12(Tue)

「蛍火」


熱を持ち得ぬ冷光の
彷徨い漂う夏の夜

静寂に暗き闇増して
果てに瞬く星揺らす


月の色に似た燐光の
灯って消ゆる夏の夜

熱帯び過ぎる風に触れ
浮かぶ蛍火 闇の詩



2005.7.14(Thu)

「」


夏の夜更けて
空過ぎる雲の切れ間
破鏡を抱いた月
降る冷光 雨と似る

薄れた身の欠片
貫いて紅の影さえも
色失せて透き通り
闇に融ける 墨色焔


月光の影抱き
破鏡の夢を見る



2005.7.15(Fri)

「」


遠く響く 弦の音
絡まり留める 詠う声

見えぬ黄泉路の果てまでも
黒き焔はその傍に


果て無き輪廻を経ても尚
その身に遺る疵痕は

熱帯び紡ぐ 睦言を
近く囁く 墨焔



2005.7.16(Sat)

「」


紡ぐ言葉を探す
囁く言霊を探す

 己の内にある想いを
 未だ確と名の知れぬ想いを

証明できるカタチにする
貴方に告げる名を 探す

 束縛でもなく 従属でもなく
 支配でもなく 献身でもなく


…己で己が解らない

それでも
俺の姿は変わらない

俺が俺の存在を疑おうとも
俺の身体は変わらない

何一つ


…生命は紡がれた



2005.7.17(Sun)

「」


己が身の奥を刺す
甘き毒の棘を知覚する

それはどこか心地好く
感覚を失いかける刹那の快楽に似て

苛むように 蝕むように
慈しむように 愛おしむように


知り得ぬ感覚を囁く



2005.7.18(Mon)

「」


触れ合う指先 揺れる眸
陳腐な歌のフレーズのような
そんな情景に 少し笑う

深い眸の奥底に
読み取れ切れぬ情の欠片
互いに探して探り合う

届かぬ言葉に 吐息がひとつ
零れて緋色 はた夜闇

月の影に紅抱かれ
内より満たす その夢を



2005.7.19(Tue)

「」


朧月は空を往く

空行く雲の切れ間より
気紛れに光覗かせて

夜の群雲 山を成し
稜線縁取る月光
未だ知らぬ 黎明の如く


夜の太陽 夜の虹
その名は月よ お前のモノだ



2005.7.20(Wed)

「その名を問う」


触れえる日常
過ぎ行く面影
指先を掠め
脳裏に囁いては去る

その感覚の名を問う

この身に触れる人の名を

その真意を問う



2005.7.21(Thu)

「」


紡ぐ詩も思いつかず
杯傍らに ただ弦を爪弾く

震える音は空へ
月満ちる闇へ

零れる音色は戻ることもなく
白金の月を揺らすこともなく


千々に砕けて
 解けて消える


届かぬ言霊のように



2005.7.23(Sat)

「」


言霊も 音魂も
仕草も 視線さえも

最早何の意味も為さず

ならば絶えてしまえば良い
元より 力などなかったのだと


…出来る筈もない
同じ路は辿らない

けれど それが
これほどまでに苦しいとは


戻る路はない
戻る気もない

これより他に
俺が望む路はないのだから



2005.7.25(Mon)

「」


届かぬ心に 弦が鳴る
擦れるような音させて

きしり きしりと囁いて
その意を成さぬ言葉を嘆く

嘆きの吐息で龍は啼けない
触れ得ぬ指先 零れた涙


声無き言葉を紡ぐのは
ヒトを懼れる己の心

魂宿さぬ言霊は
ゆらり ゆらりと揺れるのみ

悲嘆の吐息で未来は描けぬ
動けぬこの身 墨焔



2005.7.26(Tue)

「うつろうもの」


翳る視界
色あせる風景
己の身体から 奪われてゆく熱

指先が 目の端に移る髪が
刻々と色を失くしてゆくのは

視界から色彩が奪われているせいか
それとも 己自身から…


己で己の消滅を望まなければ
絶えることも出来ないとはね

理不尽な神とやらは 随分と
厄介な具合に仕立ててくれたものだ


未だ 動ける
覚悟など 決められるわけがない

それでも

留まるわけには行かないのだろう?



2005.7.27(Wed)

「」


嘲笑う
『絶望』という名の魔物

甘い蠱毒に魅入られ
また魅せられて

己で己が忌み嫌う
自虐の路を知らず 辿った

自己への嫌悪感
それさえも 己への侮蔑の対象


どうにも出来なくて
 心を封じ込める


己の存在を憎悪する
俺さえ居なければ

アナタを傷付けることもなかった



2005.7.28(Thu)

「光露」


真昼の色を伝える如く
真夏の闇に 閃いて
刹那の合間に夜を彩りて
吐息のように消えてゆく

残るは白き 炎の残骸
色鮮やかな光の遺した
夢の亡骸 風に揺れ
軌跡を為して解けてゆく

焔の滴 光の露
闇夜に閃くまほろばは
炎華と呼ばれ光露と呼ばれ
儚き刹那の存在を

記憶の壁に刻み込む
緋色の憧れ 夜の吐息



2005.7.30(Sat)

「」


詩が浮かばない
音階 さえも

手にした月琴が零すのは
ほろほろと触れる 弦の吐息

闇夜に開く華もなく
瞬く微かな星もなく

詩を紡げぬ喉が溢すは
ゆらゆらと揺れる 魂の吐息


願うのはただ一つ

傍に在ること



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